野々山女學院蟲組の秘密 【著者：田辺ゆがた】

田辺ゆがたさんの作品『野々山女學院蟲組の秘密』（角川書店）

野々山女學院に通い寮で暮らす逸鉢カズサは
春休みの期間は実家に戻ることにしました。

帰る途中に線路の上にかかる歩道橋から
飛び降りようとしていた女の子を見かけ
助けようとし手を差し伸べたところ、
自分も落ちてしまい、２人ともケガをしてしまいます。

でも、その女の子（綾取やつめ）は
自分は「人ではないので心配なく」と伝え立ち去ります。

やつめとの出会いによりカズサの運命は変わりはじめます。

カズサの実家では仕事で忙しい母親と３人の妹、
そして、飲んだくれの父親がいるのですが、
飲んだくれの父親の頭上に黒いイナゴの影が現れたのです。

今までは見たことが無かった黒い影、
父親が不機嫌になればなるほど、
その影はまがまがしく育っていったんです。

その影に襲われかけたときにカズサの中からも
蜂の影が現れ自分を守り始めました。

そして、困った時にやつめの名前を呼べと
言われてたのを思い出し叫ぶとやつめが現れ、
父親から出たイナゴの影を
やつめの影である蜘蛛が食べてしまったんです。

この影なのですが、
人間が持つ、嫉妬、憎悪、欲望、孤独・・・
などの感情が蟲として現れたんです。

それを食べる少女やつめと、
それにかかわったカズサとの物語になっています。

感情が抑えきれず暴走する・・・
という設定はよくあるのですけど、
蟲に具現化する・・・というのが面白く、
バトル要素だけでなく、ストーリーもよく、
今後が楽しみな作品になりました。

こういった人間の感情の暴走を描いた作品が好きな方は
チェックしてみるのもいいかもしれませんよ。

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