地図にない場所 【著者：安藤ゆき】

安藤ゆきさんの作品『地図にない場所』（小学館）

兄と同じランクの上の中学校に入れたのはいいのですが、
自分の成績ではついていくのがやっとで
学校には居場所がなく・・・
家でも兄と比べられたりし家でも居場所がなく
「人生終わった・・・」と絶望する中学１年の土屋悠人。

ある日、バレリーナの宮本琥珀が
母親を亡くしたばかりか、怪我で現役を引退することになり、
今まで留守がちだった隣の部屋に戻ってきたことを知り、
自分よりも終わってそうなやつが見たい・・・と、
回覧板を回す口実で会いに行くことに・・・

しかし、そこには絶望している姿ではなく、
あっけらかんとした琥珀がいたのです。

今までバレエは母親が喜んでくれるから・・・と
一生懸命に取り組んでいたのですが、
喜んでもらう人もいなくなり、
怪我でバレエを続けられなくなっても
それほど落ち込んでいなかったのです。

しかし、今までバレエのことしかしていなかったため、
日常生活もほとんどできず・・・
でも、何か自分でできることを楽しみにもしていたのです。

絶望している姿をみたかったのですが、
挫折・・・ではなく、こういった考え方もあるのか・・・と
琥珀になにかを思うようになった悠人。

そんな悠人に琥珀が「地図にない場所って知ってる」と聞いてきたのです。

この地域では「イズコ」という地図にない場所があるらしく、
子供たちはその場所を探す・・・そんな経験をしていたのですが
琥珀はバレエに夢中だったので
「地図にない場所」という言葉だけを覚えており、
探し悠人を誘って探しに行くことになるんです。

今まで居場所がない・・・と思っていた悠人は
琥珀と行動するようになり、
少しずつですけど考え方が変わっていく・・・
そんな思春期の少年を描いた作品になっています。

すごく引き込まれるストーリーになっており、
本当に「イズコ」があるのか気になるのですが、
悠人が勉強以外での自分を見つけられるか・・・
そんな展開に興味があふれる作品になっていますので
気になった方はチェックしてください。

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